ドコモ回線でiPhone 4が使えるという話題で沸騰しているようなんですが、スマートフォンを回線品質だけで割りきって使える方以外は注意したほうが良い点があることを書いておきます。
ドコモ回線でiPhone4が利用可能という話は特に今回発生したものではなく、以前から、香港などのSIMフリーが義務付けられている国で販売開始され、さらに国内のキャリアなどからMicroSIMが発売されれば可能になる話だったのが、昨日付の日経新聞で「日本無線がiPhone4向けのMicroSIM発売を予告」したことを掲載したことから改めて話題になっているということになります。
今回の発表は、どうしてもドコモ回線でiPhone4を使いたいという方にとっては待ちに待った朗報でしょう。消費者に選択肢ができたことについては、非常に喜ばしいことだと思います。
ただ少し気になるのが、「ドコモ回線でiPhone 4が使える」ということのみが強調され、実際に使うときの制限については触れられることが少なく感じたのでそれをまとめてみようと思います。
過去このブログでも取り上げたように、iPhoneをドコモで使う場合には手始めに電波の問題が大きく関係してきます。しかし、電波的な問題については、以前も書いたようにバンド Vがバンド VIを包含するというのはあくまで規格上の話であり実際に各条件下において利用してみないとなんとも言えないところですし、東名阪バンドの問題も残ってきます。これらの回線問題については誰も保証しないということです。
それはさておくとして、実際にドコモ回線でiPhoneを使うとなると、次のような問題が出てくることを留意しておきましょう。
- MMSが使えない
- 絵文字が使えない
- IMAPメールでのアラート通知が使えない
- 本体価格が高くなる
他にも出てくると思いますが、とりあえず多くの方が関係してきそうな点を、順番に書いてみます。
1.MMSが使えない
iPhoneは元々SMSしか搭載しておらず、iPhone OS 3.0でようやくMMSに対応したことにより、いわゆるケータイメールとの通信ができるようになりました。
ただし、ドコモは国内ではMMSではなく独自拡張したiモードメールでサービス提供しているので、結果的にiPhone 4でMMSを利用することはできません。SMSとMMSの違いってなんだ?というような方の場合は、それ以前の問題になります。Wikiでもまとめてますのでそちらも参照していただければと思います。
2.絵文字が使えない
絵文字キーボードはiOS4でも特定の条件を満たさなければ出てきません。その条件とは、i.softbank.jpアドレスからのメール送信画面というもので、それ以外の画面では通常操作では出てきません。
無理やり絵文字キーボードを出現させるアプリもありますが、それらのアプリでは元に戻すことができないため、一部操作で不便を感じる場面があるかと思います。
3.IMAPメールでのアラート通知が使えない
iPhoneのメール着信でアラートが出るのはi.softbank.jpアドレスへのメール着信時と、SMS着信時のみとなっています。
海外製のiPhoneを購入した場合には、このうちi.softbank.jpアドレスは取得できませんから、当然といえば当然なのですが着信時のアラートサービスも使えないことになります。それ以外の、例えばGmailなどの着信時にアラートを通知する手段も探せばあるとは思いますが、標準では存在しないことを認識しておきましょう。
4.本体価格が高くなる
日本国内でソフトバンクが販売しているiPhone4は、”月月割”という毎月の通信料金から差し引かれる実質値引きにより本体料金の実質負担金額が安く抑えられます。
日本国内で販売されているiPhone4は、SIMロックが掛かっているためドコモ回線で利用することはできませんので海外で入手する必要がありますが、海外で入手した場合や輸入品を入手した場合には、当然ですがこの割引を受けることはできません。結果的に2年間利用したケースで考えると、本体価格は割高になるということになります。
なお香港での販売価格はAppleOnlineStoreで5,888香港ドル(約65,000円)であり、3週間待ちと表示されています。これに手数料や輸送費などを入れると1万数千円程度は上乗せされ、結果的に8万円前後になるのではないかと思われます。なお香港でも先週7月30日に発売されたばかりであり、人気を考えるとさらに幾らかのプレミアを載せられても致し方ないかと思います。
当然ですが、初期不良対応などについても確認しておく必要がありますし、その場合の交渉手段の確保もしておきたいところです。国内に店舗がある場合には様々な法律により消費者保護が図られていますが、海外の場合それらのリスクは自ら解決する必要があります。
いろいろと書いてみましたが、もちろんこれですべてではなく実際に利用し始めれば様々な問題が起こるでしょう。それは、今まではドコモ回線でiPhoneを利用する方が少なかったために情報量が少なく、今回の発表で利用者が増えることにより明らかになってくる問題もあるのではないかということです。それは誰にもわかりません。
念押ししておきたいのは、「だからドコモでのiPhone4利用をやめましょう」というのではなく、「これらの問題点を理解した上で選択肢として入れるようにしましょう」ということです。同様の問題は、今後SIMフリー化が進むにつれ顕在化することですが、それを今回の利用ケースでは体験することになるということです。
iモードメールもそのままでは利用できません。今まで、メーカーとキャリアとで一体となって構築してきたケータイというサービスモデルが一部崩れるのだということを承知しておく必要があるのです。その上で、どのキャリアを選ぶべきか、自分の使いたい携帯電話(たとえばiPhone)の機能として認識しているものは、どこまでがメーカーが提供しており、どこからがキャリアが提供しているサービスであるのかをきちんと認識する必要があるということでもあります。今回のケースでは、ドコモ、日本通信、Appleという3社の分担範囲を正しく認識し、それぞれの会社に要求する必要があります。
もちろん、メーカーであるAppleが想定している利用形態を外れていることも十分考えられますので、サポートを期待せず自ら情報を収集し、障害を切り分け、問題を解決することが必要になります。また当然ですが、ソフトバンクが自社ユーザー向けに提供しているサービスやサポートを受けることは一切できません。
従来はiPhone関連の情報はソフトバンクで利用することが前提で書かれたものが多いのですが、それらの情報を自分の環境に合わせて取捨選択する知識も必要になってくるでしょう。
※なるべく長くなりすぎないように、かつ分かりやすいように気を配って書きましたが、大半の方にとっては意味が分からない言葉も出てきたのではないかと思います。逆に言えばここで書いているような内容程度は承知の上でないとドコモでiPhone4を使うことは難しいということです。また、「たかが携帯を使うのにここまで考えていられるか」という思いを持った方も多いと思います。まったくその通りです。個人的には「誰もがSIMフリーを享受できる状態」というのはそんなに簡単に実現できることではないと思っています。「強者だけが利益を享受できればいい」という姿勢では万人に受け入れられるものはできないでしょうし、そういった問題を整理しようとせずにSIMフリー化だけを騒ぎ立てるマスコミも無責任だと考えています。
※なお上で触れている制限についても、人によっては簡単に、または様々な手を尽くすことで乗り越えることが可能なものもあるでしょうが、一般的な携帯電話を使うだけの知識レベルの方が購入されるケースを考えて記述しています。自ら調べ、いかなる手段でも駆使して制限を乗り越えることが可能な方にとっては、十分に承知されているだろうことだということを追記しておきます。

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