iPad発表で考えたこと

さてついに様々な噂が流れたiPadの発表が終わりました。この製品発表の意味するところを整理してみましょう。

※1/28 14:45、最下部にキーノートビデオを見ての感想を追記しました。

外観

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まずネーミングの「iPad」ですが、これは予想されたものの1つでしたから、むしろそこに驚きがありました。逆に言えば家電製品に展開してきたAppleの動向がかなり読めるようになってきたということでしょうか。

また、サイズに関しても事前にリークされた情報があたっており、これは情報管理の甘さなのか、それとも取材した記者の手柄、または製品の新規性からすればそこまで厳密な統制が必要なかったということなのでしょうか。

一部で液晶の周辺部分の額縁部分がけっこう広いと指摘されているようですが、これは好みが分かれそうです。それよりもiPhoneを見慣れた目からすると隙間の開いたホーム画面の方がよほど気になります。ただし、半年後~1年後に(画素数を据え置いたまま)液晶サイズの変更をすることは十分考えられますので、その際に変更されることも予想されますね。

アプリプラットフォーム

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iPhone OSなのかどうかということはイベントでははっきりと触れられなかったように思いますが、デベロッパーサイトではIDP向けの「iPhone SDK 3.2 beta」のダウンロードが始まっており、iPadの搭載OSが、噂されたようにiPhone OSであること、さらにバージョンが4.0ではなく3.2であるということもわかっています。

※イベントでは7500万のiPhone OSユーザーを抱えていると明らかにされており、これは先日の決算発表であきらかにされたiPhoneの4260万台にあわせて、iPod touchが3240万台販売されていることを示しています。

このiPad向けのアプリが、iPhoneやiPod touch向けのアプリとどのように異なるのかは明らかではありませんが、60日以内に出荷されるというタイムリミットを考えれば、おそらく(細部に拘らなければ)あまり手を加える事なく、ほとんどそのままでiPadで動作するのではないかと考えられます。

ということは、現在のAppStoreの資産がそのまま活かせることになりますので、iPadが対象とするエンターテイメント分野についてはスタート当初から他の端末に対して超えられないほどのアドバンテージを持っていることになります。

また、今回発表されたようにiWorkを利用することで自分自身でドキュメントを作成しiPadで閲覧できるという点は、KindleがPDFに頼っているのに対して様々な利点が出てくると考えられます。

電子ブックリーダー

ibooks_20100127

最大の目的である電子ブックリーダーとしては、これもやはり予想というよりも要望されたような専用のストアを用意してきています。

これで、AppleはiTunesStore、AppStoreに続き、iBookstoreという3つ目の市場開拓に乗り出すことになります。

ストアのUIは洗練されていて、電子書籍が並んだ本棚を裏返すとストアが現れるようになっており、そちらで購入した書籍が本棚に並べられいつでも読めるような状態になります。

またリーダー部分に関しても紙をめくるようなリアルな表現で、かつ書体などの変更もかなり自由に行えるようになっているようです。

ただし、こと日本での販売となるとこの電子ブックリーダー部分が大きな壁となりそうな気がしないでもありません。

版権(電子化)問題もさることながら、上記したフォントについても日本語は数千を超える文字種が必要となるため自由な切り替えとなると難しい部分が出てくるのではないかと想像されます。

これについては、そもそも日本での発売が可能なのか、いつごろになるのか、そしてキャリアはどこになるのかという大きな問題があるため、現時点ではまったく不透明であるとしか言えないでしょう。

日本でもWi-Fi版は3月下旬から販売されるということです。しかしWi-Fi+3G版については、キャリアや販売方式含めて不透明とのことで、ソフトバンクモバイルも特にプレスリリースを出していません。

雑感

すでにネット上では「iBad」というネーミングまでつけられているようですが、これはやはり予想された範囲内でしかなかったという点が大きいでしょう。

また狙い所が今ひとつよくわからないという点も大きく影響していると思われます。だいたいAppleのサイトを見ても、Featuresの最初にWebブラウザであるSafariがでているのはどういうことでしょうか?さらにMail、Photos、Video、Youtube、iPod、itunesとつづいているところをみると、単に大きなiPod touch(またはiPhone)ではないのかと思ってしまいます。

今回の売りであるはずのiBooksは、AppStoreのさらに後という有様です。

ただし、Apple.com/ipadで公開されているビデオを見ると、確かにこのようなデバイスを望んでいる自分がいることを感じます。

Youtube Appleチャンネルより

写真をみたり、ビデオを楽しんだり、時にはゲームを楽しんだり。

それをiPhoneのような3.5インチサイズではなく10インチサイズで家族や友人と共有できるとすれば、それは非常に楽しいことであろうと思います。

ただし、現時点でこのようなデバイスがノートブックPCに代替出来るかといえば決してそんなことはなく、やはり「電子ブックリーダー+α」としてしかみることができないのが難しいところでしょう。その+αは、極めて個人的なものである電子メールやカレンダー管理、コンタクトリスト管理などになります。

そうなると、どうしても役割が個人所有の部分に重きをおかざるを得なくなり、上記したような多人数でたのしむというものではなくなってしまうのです。となると、どうしてもこのサイズでなければならない理由を探し始める自分がいることに気づくというのが、現時点での私の個人的な感想となります。

それは、現時点の制約を考えるとポータビリティを重視して物理的なサイズを求めればiPhoneしかなく、かといってiPhoneでは書籍閲覧には少し難があるというところでしょうか。

この「帯に短し襷に長し」というジレンマを抱えているのが現在のiPadではないかと思います。

その先へ

thin_20100127

しかし、今回の発表で気になるのが情報量が少ないということです。

例えば既存のiPhone OSマシンとの互換性についても詳細には触れられていませんし、それ以上に「3.2」というなんとも糞詰まり的なバージョンナンバーは新型のデバイスを発表するにしてはあまりにも中途半端なイメージを持ってしまいます。

ポジティブに捉えれば、これが4.0になる可能性を残しているということであり、それは初代iPhone(オリジナルiPhone)が1年後にAppStoreがオープンすることによっておおきく可能性がひらけたことに類似性を見ることができると考えます。

また当ブログ的には、iPhone OSが3.2になるという点において今回発表されたiPad向けの機能がどこまでiPhoneやiPod touchにサポートされるのかというところも大いに気になる点です。

iBooksStoreはiPhoneに開放されるのか? iWorksで作成されたドキュメントは?

それこそがiPadの最大の目標とする市場であり、その制覇に向けては既存の7500万台もあるデバイスも総動員して展開することが予想されます。しかしそこは、今までAppleが制してきた音楽やアプリ以上にやっかいな、各国ごとの制度や法律が絡んでくるところであり、その準備にはまだもう少し時間を擁するのではないかと好意的に汲むこともできるでしょう。

つまりそういった環境が整うにつれ、この「iPad」で目指そうとした狙いが徐々に明らかになっていくのではないかと考えます。

みなさんは、iPadをどのように考えましたか?

追記:1/28 14:45

上記エントリーは途切れる同時中継とライブログを見ながらのものでした。しかし午後に時間を取れたのでキーノートビデオを見ての感想を少し追記しようと思います。

Web、メール、YoutubeなどのiPhoneと同じものについてはより使いやすくなるといった既存の機能にプラスしての発展方向に留まると感じます。その意味においては、大きくなったiPodに留まるでしょう。

しかしコメントにも書いたのですが、ソフトウェア部分、つまりiWork3製品であるKeynoteやPages、Numbersがたとえばプリインストールされていてこの価格であったり、さらには個人個人で異なるとは思いますが普段使っているネイティブアプリやWebアプリがこのiPadに適合する形で対応してくれば、この製品の魅力は一気に増すだろうと感じます。

※念のために書いておくと、30ドルが惜しいといってるのではなく(むしろMSには驚異的な価格設定でしょう)、ライトユーザーであるからこそそれが標準アプリであるか否か、買ってきてすぐに使えるかどうか、iPadユーザーがすべからく平等に持ち得ているかどうか、が非常に重要なのだと言うことです。「買ってきてゴチャゴチャカスタマイズ」したくない人たちがメインとすればですけど。

このiWorkを別売しなければならないところが、結局は「大きいiPod touch」という評価に直結しているわけで、逆に言えばこれらの機能をプリインストールの形で内包できれば、これほど強いものはないでしょう。

たとえば私であれば、様々なニュースサイトやWebを見ながら、その情報やデータを蓄積し、または編集(比較・集計・グラフ化など)しながらblogへ投稿するといった一連の作業をiWork for iPadのレベルでスムーズに行うことが出来れば、それはすぐにでも購入したいと思う製品になるのです。

もちろん、それはAppStoreでデベロッパーが行うのだという考えもあるでしょうが、しかし基本的なアプリに関してはiPadの製品印象を決めるものであり、結果としてはiWorkレベルの品質を求めざるを得ないでしょう。

それらすべてをAppStoreで探しなさいというのは、iPhone/iPod touchで慣れている方ならともかく、今からユーザーとなる方にはかなり敷居が高くなるといわざるを得ませんし、現行iPhone/iPod touchユーザーが買い換えるまでの需要があるかといえば、やはり厳しいといわざるを得ません。

しかしもし上で述べたような、個々人の日々の知的生産にかかわる行動をサポートできるモノが実現できれば、その時、iPadは夢見ていた個人用の知的生産ツールに現時点でもっとも近づいた製品であるだろうと想像できます。そういった意味において、やはりソフトウェアの強化がこのiPadに求められているのだと改めて強く感じます。

再追記

あとネットの評判を見ていると、Flashが動かないのは論外とか、720pで30fpsがありえないとかいうのをかなり見かけますね。

私自身は前々から書いているように、ジョブズは軽良型のiPhone OSを搭載したシリーズにブラウザプラグインタイプのFlashを載せる気などさらさらないと思います。それはHTML5で十分だし、プラグインというのは美しくないというのがAppleからのなのメッセージでしょう。新しいプラットフォームを作るのになぜ古臭い仕組みを全部持ってこようとするのか、それが理解不可能です。新しいからこそ古臭いWebを捨て去り、HTML5を先取りした世界を構築できるというのに。

Adobeの糞重いAcrobatで結論が出ていると思いますが、専業のソフトウェアベンダーに基本コンポーネントを開発するフリーハンドを与えてしまうと、(生業上致し方なく)無限にスペック競争を始めるのがオチです。そうなれば、またWINTELの無意味なスペック競争時代に逆戻りです。

「30fps」をはじめとしたスペック至上主義の方の話には本当にうんざりなんですが、「そのスペックを使って何をするのか」をもう一度問い直した方がいいでしょう。1万桁のπ計算をやるために数百ワットの電源を搭載するとか、そんな馬鹿げた世界はもう十分です。

それらは、ユーザーのことを考えないメーカーの技術者が、自らの誇りのために作り出した幻想でしかないと思います。30年前、個人の知的生産性を向上させる理想として考え出されたパーソナルコンピューティングというのはそんなくだらないことをするために考えられたものではないはずです。

参考)キーノートスピーチ - apple.com


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9 responses to “iPad発表で考えたこと”

  1. 毎度です。

    Man o’Warさんにしては珍しく校正が甘いですね。 速攻でしたから、分かりますが(笑

    iPhone OSでOS Xのファイル/フォルダの概念を消し去ったのですが、iWorks for iPadではどう管理するのでしょうか? MobileMeに置くのだったら、iWorks自身をWebアプリにしていたでしょうから、その点が疑問です。 ファイル/フォルダでの管理が復活でしょうか?

    結論から言うと、(今使っているPowerBook G4二台がもう限界に近いので、)当地で発売されたら、即買いします。 できれば、次の条件を満たして欲しいとは思いますが。

    1. WiFi onlyの機種でもiPhoneを使ってtethering可能。
    2. iWorksが乗せられるのなら、ぜひFileMaker Proも出して欲しい。 (Bentoではなく、限りなくフルバージョンに近いもの。)

    これで私が仕事に使用する上で、MacBookを買う必要は全くなくなります。

    しっかし、AT&T exclusiveとは。 今でさえ怪しいAT&Tの回線キャパは大丈夫でしょうか?(日本のソフトバンクも同様。) iPadをAT&T exclusiveにした見返りに、iPhoneをVerizon(日本ならdocomo)でも出す前提なら、多少は分散されそうですが。

    最後に、英語ネイティブでない者には、発音が紛らわしいですね。(文字化けしてたらゴメンナサイ。)
    iPod (ái-pάd, ái-pɔ́d)
    iPad (ái-pǽd)
    iPadはよほど強調して「アイ ピャ~ッド」と言わないと混乱しそうで、ストレスになりそう…

  2. こんにちわ。
    残念ながら起きていられなかったのですが、朝このデバイスを見ておもったのは、自分がこのデバイスを使っているシーンを想像できなかったという事でしょうか。
    確かにこれまでの電子ブックは単一機能で買う気にもならなかったものですが、ipadを移動中にカバンから取り出して使っている姿を便利だとは感じませんでした。もともとそんなに本を読む方ではありませんし。
    期待するのは、ipadが流行るという事よりもむしろ、電子ブック市場がより、活性化する事でしょうか。

    んー、今のところ、微妙な感じです。

    というか、iPhoneがよくできていすぎるため、ipadの必要性をさほど感じないという事なんだろうと思いますけどね。どれだけこれによって潜在的なニーズを引き出せるのか、見ものだとおもってます。

  3. Man o’War様、

    仰るように、OS 3.2というのは、いくらなんでも中途半端でしょう。 発売までにもっと機能がアップした4.0になっているような気がしますね。 CPUパワーは十分に余裕がありそうです。 iPhone同様に進化に期待です。

    私自身は、自宅でも出張時でも、利用方法がいくらでも考えつきます。 自宅のiMacはいつも嫁に占領されているし、iPhoneは老眼にはきついです。 無線LANを増強しなくっちゃ。

    iMacにiPad Keyboard Dockが使えるなら、キーボードは一台で済ませられますね。 iMacにも使えると言う記述はありませんが、sync機能がありますから、当然iMacにつながりますので、それで使えないという事はさすがにないでしょうw

    前にコメントした通り、私にとっては、FM Proが乗れば、MacBookは不要になります。 iPadではできなことも多いですが、この際、仕事のやり方を、「これで出来ることに合わせる」という方法もありですね。

  4. はじめまして
    iPadは価格的にも機能的にも全てのネットブックを屈服させるための
    Appleよりの使者でしょうか?
    更には、
    iPadでiPhone(iPod)の更新やiTunesの編集が出来るのならば、もしかしたらiPhone普及を加速させる為の布石になるかもしれないというこれはAppleの戦略なのでしょうか?

    だとすると、これだけ普及した初心者にも扱いやすいiPhoneOSを使用したiPadならば、この性能はなかなか良いところをついた商品ではないかと考えますがいかがなものでしょうか?

    是非ご意見をお聞かせください。

  5. iBook store 電子ブックリーダー としては Kindel と同じように読み上げ機能がついてるかどうかが気になるところです。

    日本で書籍が販売されなくても英語書籍がネイティブで読み上げてくれれば、日本人の英語勉強のための英語書籍の売上げが上がるような気がします。
    そこを上手く宣伝すればですが。

    読み上げ機能がついてれば、私には買いです。
    今回、読み上げできなくても、できるようになるでしょうけど。

    ついでに青空文庫、豊平文庫も読み上げ機能つけて欲しいな。微笑

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