GigaOMが、iPhoneのマーケティング面を視覚化したイラストを公開しています。
こうして、数字ではなく図示されるとわかりやすいですね。
1.マーケットシェア
まずは、スマートフォン市場でのマーケットシェアを図示したものです。
ソースはGartnerが2009年11月に発表したものから作成されたグラフで、赤い部分がApple社のシェアになります。2008年第3四半期に13%だったApple社(iPhone)のシェアは、2009年第3四半期には17%に達しています。
なおAppleよりも広い面積を取っているのが、大きい順にNokiaとRIMになります。
実はこのグラフのさらに1年前、2007年第3四半期にはNokiaのシェアは実に48.7%もあったのです。スマートフォン市場のほぼ半分のシェアを誇る名実ともに王者であったのですが、ここ数年で急激にシェアを落としていることがわかります。
現在のシェアを見るとNokiaは39%となっており、逆にRIMとAppleのシェアが拡大してきたわけです。
Nokiaの独占だった市場は、いまや、Nokia、RIM、Appleの上位3社で形作る寡占市場へと変化しています。注意すべきはこの3社の占めるシェアであり、2008年には71%(42+16+13)だったのが、2009年には77%(39+21+17)へと拡大(寡占)傾向を示していることです。
それとは対照的にOthersでくくられるその他のメーカーのシェアの合算は、2007年には29.4%もあったものが、2008年に21%、2009年には13%へと急激に絞り込まれています。この市場変化はまだまだ続くと予想されます。
※このあたりの傾向は、すでに何度かこのブログでも触れてきました。ご興味のある方はこちらの記事をどうぞ。2009Q3の世界スマートフォンシェア、2009Q2世界スマートフォンシェア
補足している数字は、すべてGartner発表のもの。
2.iPhoneのコスト構造
iPhoneを構成する部品ごとのコストを棒グラフにしたものです。
これはiSuppliが明らかにしたiPhone 3G(16GB)の部品コストをグラフにしたもので、こうしてみると東芝製のフラッシュメモリーのコストが占める割合が非常に大きいこと(13.9%)が一目で分かります。
もちろん、この巨大なフラッシュメモリーこそがiPhoneの特徴の源になっているもので、みなさんはこのメモリーに、音楽や映画、アプリ、ゲーム、連絡先リスト、電子メールなどを保管し、日々それを見たり、楽しんでいるわけです。
このメモリーを、iTunesストアからのダウンロード時に活用することで、従来の店舗でのパッケージ購入のような手間の掛かる作業をすべてなくしているのです。
フラッシュメモリー以外に目につくところでは、2番目の3.5″液晶(11.2%)や、その表面を覆うタッチパネルガラス(9.3%)、4番目のARM製CPUコア(8.4%)、通信モジュール(7.5%)などが大きいところです。
この上位5つの部品だけでiPhoneの部品コストの50.3%を占めていることになります。
3.お金の流れ
さてiPhoneを購入し使う場合にはどのようにお金が流れているのでしょうか。
※この絵はアメリカでのAT&Tと契約する場合のものになりますが、価格がドルと円で異なることと、AT&Tをソフトバンクモバイルに置き換えれば、基本的には同じ事になります。
右上にあるのが前項(2.iPhoneのコスト構造)で説明した部品調達の部分($179)です。こうして調達した部品を工場で組み立て(これも前項のグラフの最後にManufacturing Costとして載っています)、各国で販売することになります。
AT&Tで購入・契約する場合(右下の人物)と、Appleのリテールストアで購入・契約する場合(左中央の人物)とで少し異なりますが、消費者である私たちが支払う金額は同じものです。
AT&Tで契約した場合は、私たちはAT&Tと2年間の電話契約を結び、同時にiPhone本体の価格として$199を支払います。その後、AT&Tは、Appleに対して$351の販売補助金(バックマージン)を支払います。このお金は、私たちが2年間支払う電話料金の一部から出ています。
AT&Tは、結果としてiPhone1台あたりにつき本体価格$199とこの販売補助金$351を合わせた$550をAppleに対して支払うことになります。これが本当のiPhoneの料金なのですが、それを(見かけ上は)直接消費者から取らずに、キャリアから回収する形をとることで安く見せかけているということです。
※ジョブズがイベントで示した「iPhone 3G(16GB) $199」という価格はこうして実現されているのです。
もちろん、キャリアが全額負担するわけはありません。AT&Tの場合は、2年間のデータプランの合計額が$720のため、この中から上記$351を捻出していることになります。
※日本のソフトバンクの場合も、同じような構造になっています。
※また、左の人物のところに書かれている通り、電話会社との2年契約をしたくない場合には、Appleに対して直接$599を支払うことになります。
4.お金のゆくえ
さてここまで見てきた数字をAppleの2009年第3四半期に当てはめて計算すると次のようになります。この四半期にAppleは520万台のiPhoneを販売したと発表しています。
先程の関係で考えれば、単純計算では販売補助金を含めたキャリアからの売上$550×5,200,000すればAppleの売上が算出でき、そこから部品組立コスト$179×5,200,000を掛けた額が原価として差し引かれるわけです。
※単純にするため、すべてiPhone 16GBがAT&T経由で売れたとしているようです。
- 売れたiPhone:520万台
- 総売上高:$28億6000万(2,500憶円)
- パーツメーカー等への支払い:$9億3千万(約822億円)
- 差額:$19億3000万(1,700億円)
つまり、2009年台3四半期にAppleがiPhoneのハードウェア本体で手にした金額は、約1,700億円となります。
※もちろん、これがすべて利益になるわけではなく、莫大な研究開発費や輸送費、リテールストア運用費用、労務費、故障修理品の費用などなど、雑多でかつ膨大な費用が発生します。
さて、キャリア(AT&T)はどうなるでしょうか。※このイラストでは520万台すべてがAT&T契約という割り切りになっています。
- 2年間のデータパック料金:$30×24=$720
- Appleへの販売補助金:$351
- 1台あたりの2年間差額合計:$369
- 売れたiPhone:520万台
- 差額×iPhone台数:$19億2000万(1,700億円)
キャリア(AT&T)では、通話料に加えて月$30×24ヶ月で計$720のデータパック料金が入ります。しかし、上で見たようにそこから販売補助金$351を支払っていますので、差額は$369となります。これに520万台を掛けてみると、$19億となります。
結果として、キャリア(AT&T)は2009年第3四半期のiPhone販売により、2年間で1,700億円あまりを手にするということです。
まとめ
細かい誤差は多々あるにしろ、1台のiPhoneが売れることによる収益はAppleとAT&Tで折半になっていることがよくわかります。上手く出来ているというのが正直な感想です。
※もちろんAT&Tは、子れとは別にAppleに1円も払う必要の無い「通話料収益」という非常に大きな収益源も持っていますが、通話時間を増やし通話料収益収益を上げる努力はキャリアの取り分だからAT&Tの責任範囲だということですね。
ただし、VoIPなどキャリアの生命線を断ちかねないアプリについてはあまり透明性の良くないリジェクトにより排除してきた経緯はみなさんご存知の通りです。しかし、ここに至ってAppleがVoIP事業者を買収しようという動きも見せているようであり、キャリアとの関係が円満ではなく緊張関係にあることを伺わせます。参考)Is Apple Buying VoIP Provider iCall? (AAPL, GOOG) via) 【速報】AppleがVoIPベンチャー買収を検討か → 携帯通話料が劇的に安くなる可能性:in the looop:ITmedia オルタナティブ・ブログ
このビジネスモデルはAppleが構築したものでしょうが、通常、携帯電話機メーカーとキャリアとの関係はこれよりも悪い条件で契約していると思われます(各国キャリアとこの販売補助金で揉めていたという噂が流れていました)ので、Appleは魅力的な製品を作り上げることによりキャリアとこのような関係を持つことに成功したと見るべきでしょう。
※お気づきの方もいるでしょうが、ここでは出てきませんがAppleはiPhone関連でいえばiTunesストアやAppStoreからの売上の一部を収益源としていますし、またキャリアであるAT&Tはデータ通信以外の通話料金も手にします。さらにAppleは直営ストアでもiPhoneを販売していますので、ここまで単純な計算にはならないことをお断りしておきます。あくまで大きなお金の流としてとらえていただければ幸いです。
またこの販売補助金はあくまでAT&Tについてのアナリスト予測であり、各国の状況やキャリアとの力関係などで細かく差を付けていると思われます。またその割合が高いか低いかは、独占販売を行っているか否かなども関係してくるのではないかと思います。
Source:GigaOM





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