昨年の9月、TechCrunch50においてデモンストレーションされ話題となったSekaiCameraですが、その後提示していた11月を過ぎても一向に進展がないようです。
しかし、各所で話題になっていますが、世界ではすでにARを応用したアプリが登場しているようです。
開発元はオーストリア、採用したのはなんと本拠地をアムステルダムに置く世界規模の金融グループの銀行です。
もう一度おさらいしておくと、SekaiCameraが提示したコンセプトは、現実世界の映像にTag情報を重ね合わせることでAR(Augmented Reality:拡張現実。VR仮想現実に対するもの)的な使用感をユーザーに提供するものでした。
しかしそもそも一切映像解析をせず、なおかつ情報はすべてユーザーが構築していくというモデルに若干の無理があったため、色々な指摘を受けていました。
これはApple社のiPhoneSDKの制限上やむを得ないところもあったかと思うのですが、やはり現時点でのGPS情報の精度や、これを補完する情報源(Androidには搭載されているコンパスなど)がないことなどが致命的であったのではないかと考えます。
そのSekaiCameraの遅々とした動きに反し、世界ではすでにARを実用アプリレベルでリリースされているというニュースがあちこちで取り上げられています。
開発したのはオーストリアのMobilizy社、採用したのはオランダの銀行INGでした。
※ING:インターナショナーレ・ネーデルランデン・グループについては、アイエヌジー生命のグループの歴史ページを見ればわかりやすいでしょう。一言で言うと、19世紀半ばに設立された世界有数の金融グループです。
Forbes Global 2000において全業種ランキング9位。8位がトヨタ、12位がAT&T、16位がウォルマートだといえばだいたいの規模がおわかりでしょうか。
そのアプリ「ING Wegwijzer」は、街中にあるINGのATM(現金自動預払機)を探し出すアプリとなっています。
実際の使用映像が、下記。
確かにGPSとコンパスを利用しながら位置を特定し、さらには映像解析を行ったうえでATMの場所を適確に指し示しています。
※以前の記事でも書いたように、SekaiCameraもこういった用途に応用すればよかったのではと思いますが、こういった先端技術の開発では、出資者や採用企業が見つからないことにはあのようなコンセプト形式とコミュニティモデルでしか展開しようがなかったということでしょうか。
しかも重要なことは、これはコンセプト映像などではなく、実際に一般利用者向けにリリースされている実用アプリです。プレスリリースも出されています。
これまで、実際にARライブラリなども公開されており開発できることがわかっていても、それを実用化し、さらには採用企業まで現れているということは、一歩も二歩も先を歩かれてしまった感が強いですね。
また、これを採用することを決定したING首脳陣の頭の柔らかさには頭の下がる思いです。
世界規模の金融機関といえども、最先端の技術モデルを受け入れることで顧客へのサービス提供を優先するという姿勢は、日本の金融機関なども見習うべきでしょう。



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