Google、絵文字を標準化へ

これまたびっくりなニュースです。グーグルが、日本独自なケータイ文化「絵文字」を標準化(共通符号化)するというのです。

Google Japan Blogで明らかにされた内容によると、

Google Japan Blog: 絵文字のユニコード符号化: 符号化提案用のオープンソースデータ

絵文字は元々各携帯会社のユーザー同士で使用されることを前提に作られたものですが、現在では各社間である程度の互換性を保つための絵文字変換表も利用さ れています。 ユーザーは携帯会社や機種の違いに関わらず、見慣れている絵文字が表示されることを期待しています。自分がメールで送った絵文字が、受信側でも同じか同等の絵文字で表示されること、ウェブで見る絵文字が他の携帯ユーザーにも同じに見えること、また検索エンジンで絵文字を探せば、結果が返ってくること。こういうサービスを実際にうまく動作させるには、絵文字がユニコードとして標準化されることが必要になります。ユニコード標準:現在多くのコンピューター環境で使われている国際共通の符号化文字集合)。

現在、日本の携帯絵文字の全てをユニコードの文字として共通符号化しようという提案が進行しています。そのためには、現在使用されている絵文字のうちどれが既にユニコード符号化されているか、新しく符号化しなければならない絵文字はどれかなどを調査する作業が必要です。この提案を支援する目的で、私たちが提案している絵文字のマッピングや変換表、更に絵文字データからHTMLの表などを作成するのに役立つツールなどを 「emoji4unicode 」 という名前でオープンソースプロジェクトとして公開します。 これによりユニコード コンソーシアムの他のメンバーとの協力を強め、携帯電話会社、更に携帯絵文字に関心のある皆様からフィードバックをいただければ幸いです。 これらの表やツールを公開することによって、絵文字のユニコード符号化をより迅速に実現できることを願っています。 詳しくは絵文字ユニコード符号化プロジェクトページ絵文字オープンソース・データページ をご覧ください。

 

ということです。

 

インターネットの世界(それ以外でも同じ潮流になっていますが)では、世界で技術標準化を行った後、その共通ルール(プロトコル)に基づいてコーディングを行うという手順が取られてきました。それにより、インターネットメールが世界共通で使えたり、Webサーバへのアクセスが行えたり、FTPによりファイルのアップロードが行えたりという限りないメリットが生まれ、インターネットの世界はかつてないスピードで発展し続けています。

振り返って「絵文字」は、日本のキャリア(携帯事業者)が独自サービスを狙って始めたものでしたが、いまやiPhoneにも搭載されたり、Gmailで絵文字表示がなされたりといったように、ここにきて世界で利用される傾向になってきています。

※元々、ICQなどテキストチャットの世界でもエモーティコン(emoticon)と呼ばれる感情を表現するアイコンやアニメは存在しましたが、日本の絵文字ほど発展を遂げているものではありません。

 

しかし、日本のキャリアが開発し発展させた絵文字は、先のインターネット標準(や文字コード)規定上、使ってはならない(または本来別の目的として利用される)領域を”無理やり”使って実現しているために、絵文字に対応していない携帯やWebサービスでは、当然のように文字化け(下駄になったり)する事態になっていたのです。

今回その絵文字を規定化し標準化することで、世界各国のインターネット上のWebサービスなどにおいて絵文字対応がスムーズに行われることを狙い、標準化作業をグーグルが行おうとしているのです。標準化されれば、今後リリースされるフォントにおいてはデフォルトで絵文字字体の組み入れが行われるようになるでしょうし、そうなれば(利用者はもとより、キャリアや端末メーカーなども)恩恵は計り知れないものになるでしょう。

本来、標準化作業は日本のキャリアが主体性を持って行うべきであったと考えます。標準化の理念や目的、そのメリットやデメリットを知っておれば、いまや1億台で利用されるに至っている絵文字を、発生時点ではどうであったにしろ、独自拡張規格のまま長年放置していたという現状は、決してほめられたものではないでしょう。

また標準化作業は実際には多額の金銭負担が必要であり、各国根回しなども必要になる作業であることからキャリアが敬遠していたことも容易に想像できます。それを今回、直接的なメリットが薄いグーグルが行うことは、私自身は十分世界規模で社会的責務を果たしていると考えますし、翻って考えれば生み出した張本人にも関わらず標準化作業を今までやってこなかった関係者に対しては、正直言って失望の念を抱かずにはいられません(また一部キャリア擁護者からの反論があるでしょうが、正直な感想です。可能な限りソフトな表現にしてみましたがあえて書かせていただきます)。

 

すでにグーグルグループもオープンされ、標準化に向けた情報収集が開始されています。ウィルコムやイーモバイルが蚊帳の外であったりするようですが、そういったことを伝えるのも、キャリアや日本人デベロッパーに求められることでしょう。Googleは、自らかつすでに動いてみせているのです。しかもOpenな姿勢で、広く意見すら求めています。

なぜこういったことが、日本のキャリア、特に業界首位であることを自他共に認める、また絵文字を生み出した張本人であるdocomoにできなかったのでしょうか?(言い訳ではなく)明確に誰にでも説明でき、納得できる理由があるのなら、教えて欲しいものです。誠に残念という言葉しか浮かんできません。

こういった社会的責務を果たしてこその大企業ではないのでしょうか?そういった姿勢を消費者は必ず見ている上、それを購買という絶対的な行動で評価してきます。ましてや、このGoogleの行動を妨げたり、邪魔するような行動(別の標準化行動など)を取ることを、消費者は決して見逃さないでしょう。ぜひとも業界のガリバーを初めとしたキャリアは、自ら”協力”を行っていただきたいものです。今さら主体性を発揮するなどは、誰も望みません。

※開発者以外も参加すべきですが、groupsの仕組み上、また文字コードが絡むという性質上、正直言って一般の利用者が参加し寄与するためにはハードルが若干高いです。ただ、ニュースは継続して発信されるでしょうから、その際に同じように考えることが必要でしょう。

※ここでは、絵文字が有用であるかないかの議論は意味がないので端折ります。エモーティコンという文化がすでに存在していましたし、実際問題iPhoneOS2.2がリリースされて以来、海外のメディアやblogでは、絵文字をいかでか使おうとしている姿がありました。絵文字が標準ではないから忌避するという姿勢もあるでしょうが、ここまで発展してしまった以上、絵文字はすでに日本独自のものではなくなっているのです。

むしろ、日本独自で生み出した絵文字文化を世界が認めてくれているということに誇りを持ち、キャリアをはじめとした日本開発者には、積極的に標準化作業に寄与する姿勢や、その標準に率先して積極的に対応する姿勢こそが求められるのではないでしょうか。でなければ分野こそ違えど(また様々な経緯はあれど)、”柔道”が”JUDO”になってしまった後から”それ”を批判するような事態になりかねません。すでに一度、日本や中国という漢字利用文化圏に住し漢字を日々使っている我々は、(どんな事情があれ)漢字文化を正確に伝えることに(UNICODE策定段階で)失敗しています。

ある民族独自の文化が世界規模で広がるというのは、そういう痛みも伴うものであるのだということなのだろうと考えます。それが嫌なのであれば、独自文化の魅力を積極的にかつ正確に、他文化に(発信するだけではなく、きちんと伝わるように)伝え、押し付けるのではなく共有する姿勢が求められるのではないかと考えます。

 

また、先日ファームアップデートによりiPhoneで対応された絵文字搭載も、こうした動きがあってこそのものだったのかも知れないと感じました。さらには、情報(通信)というものは送り手と受け手がいて初めて成り立つものであり、受け手に伝わることを意図して行わなければ意味がないものであるということになるのだと改めて考えさせられるニュースでした。

また、同時に日本独自対応のコスト負担を理由に撤退を決めたNokiaのニュース(Nokia日本市場撤退)と同日であったこともあわせ、重く捉え、深く考えるべきニュースではないかと思いました。


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3 responses to “Google、絵文字を標準化へ”

  1. あぁ・・・そういえばDoCoMoでしたっけ・・・?絵文字を最初に投入した会社は・・・。
    まぁ無理ですよ・・・。だって、DoCoMoですから。
    キャリア擁護云々する人もいると思いますが、自分はこれでもDoCoMo・au・SoftBankと3社の携帯やサービスを使ったことがあるのでよくわかります。
    確かにDoCoMoは先進性あふれたメーカーだとは思いますが、決して標準化しようとは考えない会社だと思います。何より日本で50%近いユーザーを抱えているからか知りませんが、「自分が1番だとか、自分がやってるのが正しい」といった考えを持っている会社だと思います。

    最もそれを痛感したのは、今回のDoCoMoの秋冬モデルの型番です。どこが消費者にわかりやすいのかと問いたい。そういう意味でも、DoCoMoが標準化を行うとは到底考えられないですし、何より今の日本のキャリア状況などを見れば一目瞭然と言えるかと思います。(その他で言えば、パケット定額制の2段階方式も一番遅かったのはDoCoMoでしたし。)

    悪口などではなく、むしろ事実だから仕方ない。そしてその結果がこうなったんだと自分では思います。

    はっきり言って、絵文字は3社すべてが一緒であるわけがないですから、DoCoMoやauやSoftBankがお互いに歩み寄る姿勢が無ければ無理だと思います(まぁそんなことを日本のキャリアがするわけもないですが)。
    そういう意味では、Googleが絵文字の標準化を行うというのはかなり驚きではありましたが、誰もやらない以上は、是非成し遂げてほしいなと思います。

  2. こんばんは
    Googleの柔軟性と発想にはいつも驚かされています。
    絵文字が必要か不必要かは分かりませんが、
    日本が発信した特長(表現?)というのが
    グローバルスタンダードに向けて取り上げられることは喜ばしいことですね

    しかし、日本の悪い体質として回りを囲まれて初めて動くような
    腰が重い企業。。。。
    おっしゃり通り 邪魔だけはしないで欲しいと思います。
    「損して得取れ」とWIn&Winを目指すのではなく、
    自分だけ一人勝ちを目指す鈍感な企業を見ていると
    正直、情けなくなってきます。
    もともと携帯をエンターテイメントとしての使い方を表現していったのも
    日本の携帯が先駆けだと思います。
    逆に日本が先頭をとってがんばって欲しいものです。

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