iPhone1千万台突破の意味

iPhoneが、初代GSMおよび3Gを合わせて1千万台を突破したということをお伝えしましたが、この意味するところについて整理してみたいと思います。※若干抜けていた部分がありましたので、2のゲームプラットフォームを中心に追記しました。

ゲームプラットフォームについて補足するエントリー「続編:iPhone1千万台突破の意味(今後のゲームプラットフォームとは)」を書きました。

1.携帯電話機

これについては、Apple自ら決算発表で語っているように、スマートフォンの代名詞でもある”Brackberry”を擁するRIMをレベニューによる比較で抜き去っています。

またスマートフォンを含む携帯電話機市場全体を見てみると、ガートナー発表によれば2008年第2四半期の携帯電話機販売台数は3億470万台、同四半期のスマートフォン販売台数は3,220万台となっています。ちなみに同四半期の日本の携帯電話機出荷台数はJEITA発表によれば1,171万台ですから、市場規模の大きさがだいたい理解できるのではないでしょうか。つまり日本市場というのは、世界携帯電話機市場のうちの10%未満であるスマートフォン販売市場の、さらに1/3規模の市場であるということです。

今回のAppleの発表は2008年第3四半期分ですが、まだ他社からの数字が出揃っていない状態ですので推測になります。まずNokiaが先日発表した同四半期の携帯電話機全体の販売台数、1億1780万台が基準数値となります。Nokiaの前四半期(2008年4月~6月)比98%であり若干減ってはいるものの、携帯電話機市場としてはほぼ同規模であることがわかります。

2008年4月~6月期の携帯電話機の総販売台数が先述したように3億470万台です。同四半期におけるiPhone販売台数が690万台ですから、全携帯電話機市場に占めるiPhoneの市場占有率は、2%を超える規模であることがわかります。ちなみに同四半期の日本の携帯電話機全体は(9月分がまだJEITAから発表されていませんが、最近の冷え込み振りを無視しても)870万台~970万台にしか達しないだろうと思われます。こうやって整理すると、世界携帯電話機市場から見れば「iPhoneの販売台数」と「国内携帯電話機市場全体」はほぼ同規模であることがお分かりいただけるかと思います。

さらに後述するプラットフォームとしての評価を考えると、日本国内市場で”売れた・売れない”、”成功した・失敗した”という議論が(専売キャリアであるソフトバンクモバイル社の業績は別として)あまり意味のない空虚なものに思えるのは私だけではないかと思います。上記のような数値比較を普段目にしないことを思えば、むしろどこかお金の出所からの意思が強く働いているとすら思えてきます。

さらに言えば、先日docomo社長が次四半期投入端末の新機能として”エージェント”なる機能を自慢気に紹介していたのですが、それは本来ハードウェアの新機能ではなく、追加機能として既存端末にも提供すべき機能であることは、iPhone(以前にスマートフォン全般)をお使いの方にとっては痛いほど理解できているのではないでしょうか。

 

2.ゲームプラットフォーム

さて、携帯ゲーム機としてはどうでしょうか。

次で書いているように、AppStoreには多数のアプリと共に、Gameカテゴリーに多数(約1,600本)のゲームアプリが登録されています。また国内大手ゲームパブリッシャーではハドソンが、また世界規模のゲームパブリッシャーとしてはEAやVivendyがすでに進出をしています。またng:moco(元EA幹部がスピンアウトして立てたゲームパブリッシャー)のように、iPhone特化を打ち出す企業も存在するのです。

※念のために書いておきますが、iPhoneはGSM版の発売から1年以上が経っていますが、サードパーティアプリ流通市場であるAppStoreはiPhone 3G発売日である2008年7月11日が開始時期となります。つまり先の1,600本という数字は、3ヶ月半でのゲーム登録本数ということです。

現段階は既存モバイルゲームの移植が中心ですが、すでに海外ではオンラインFPSなどのポーティングを行う野心的なゲームも登場しています。これは、iPhoneの持つ各種センサー、マルチタッチ液晶パネル、案外高い3D演算性能などが評価されていると思いますが、それにプラスして最近の(Nintendo DSが切り拓いた)ライトなゲーム志向も影響を与えていると考えられます。

 

さて、現在のところ、ワールドワイドなゲームプラットフォームとしての最速1千万台記録は、SonyのPSP(発売から10カ月)が持っています(SCEJ正式発表(pdf)による)。内訳としては、日本を含むアジアで300万台、北米で447万台、欧州で253万台となっています。※国内市場ではなく、世界市場での1千万台突破時期です。以後同じ。

それに次ぐのがNintendo DS(発売から約20ヶ月)で、販売内訳として400万台をアメリカで、500万台超を日本国内で販売しています(任天堂正式発表による)。

iPhoneは、2007年6月29日の発売開始から約15ヶ月で1千万台を達成しています。販売国の内訳はApple公式発表では明らかになっていませんが、初回出荷台数100万台のうち81%がアメリカ国内販売というニュースを考慮すればほぼ想定が出来そうです。次で見るゲーム登録本数およびスタートダッシュでの累積販売台数を見ればまったく悪い所などなく、むしろ流通部分での大きなアドバンテージを含む分、今後の発展が期待できると考えます。

一部に、はるけき過去の”ATARIショック”を持ち出し危機感をあおる方がいますが、TVゲーム黎明期のATARIの時代と現代とでは、情報流通レベルがまったく異なります。また、当然Jobsも先人の失敗から多くを学んでいることでしょう。

※iPod touchの販売台数は、未発表のため含めません。ただし、ゲームで使いそうな機能はほぼ共通であるため(可能性があるとしてもGPSおよびカメラ)、本来は加算対象であると考えます。最近、一部アプリで初代iPod touchを対象外とするものが出てきていますが、(上記デバイス依存のものを除けば)どうやら登録時の手続きミスが原因であることがほとんどのようです。

ここでは国内携帯電話機を比較対象としません。理由は、例えば90xシリーズと言っても、それは単に発売時期が同じものであって同一プラットフォームではないからです。現在の国内携帯電話機用に提供されるゲームは、開発元による血のにじむような互換性検証作業の犠牲の上に成り立っています。それではゲームプラットフォームとは呼べないことがお分かりいただけるかと思います。

 

3.ゲーム流通市場(AppStore)

次に、ゲームプラットフォームであるとしてゲームタイトルを流通させる仕組みである「AppStore」をゲーム流通市場として見てみます。先のSonyのリリースに「対応ソフトについては、9月末の全世界で延べ197タイトル、累計出荷本数は1,960万本に達している。」との記載があります。

対するiPhoneのAppStoreですが、過去のデータは不明なので本日時点での数値を見てみると、UnitedStatesでのGameカテゴリーの本数は1594本(うち有料ゲームは314本、無料ゲームが1280本)となっています。またダウンロード総数が2億本とのことですから、偏りがないとして全体アプリ本数に対するGameカテゴリーの占有率で単純計算してみると

・有料ゲームは、全体のアプリ本数6044(うち有料1393本、無料4651本)本の5.19523%を占める

・有料ゲームのダウンロード本数=2億ダウンロードの5.2%で1,040万ダウンロード

となります。

つまり、あくまで概数での想定ではありますが、有料ゲームアプリのみで数えても、300タイトル、累計ダウンロード回数が1千万本の流通市場であることが想定されます。これに先のPSPでのタイトル数と平均単価、およびAppStoreでのGameアプリ単価の差異を考えれば、大まかな規模感が見えてくるのではないでしょうか。

再度確認しておきますが、あくまでiPhoneは携帯電話機であって、専用携帯ゲーム機ではありません。にも関わらず、流通市場として見ればこれだけの規模を抱えているということです。

 

4.その他の特徴

このブログでは以前から述べている通り、iPhoneは携帯電話機である上で、ゲームプラットフォームでもあり、さらには次世代標準に準拠したWebブラウザを搭載しています。

次世代以前にHTML4シリーズやXHTMLへの対応や、cookie対応、SSL対応の心配をするようなレベルは、標準準拠とは呼べません。「ギリギリなんとか表示できている」のでは問題外なのです。

これの意味する所は、画面サイズやppi、さらにはインターフェース機器までもが統一されたメディアの市場規模が1千万台に上っているということではないでしょうか。

今までのPCにおいては、各PCベンダーがベンダー内ですら統一性のない画面サイズやメモリサイズ、対応メディア・デバイスなど、自社のサポートセンターですら顧客のPCがどのような状態であるのかが理解できないほどの混沌とした状況だったのです。さらにその上に各ブラウザベンダーが個々に開発したブラウザーが陣取っているのですから、Webメディアとしても統一感などないに等しいといえるかと思います。

これでは、例えばWebデザイナーにとっては、まさに手探りで各種基準値を決めるほかないような状態ですね。一体何を基準に「横幅は900pxとする!」などとしていたのでしょうか?またUIを検討するにしろ、顧客がマウスで操作しているのか、キーボードなのか、トラックボウルなのかも判然としません。

また現在大きくコスト構造を支えている広告を表示するメディアとして考えた場合でも、これでは一体どのサイズで、どこの場所にどのような広告を表示すればよいか?というのは統計的な手法に頼るか、またはエイヤで決めるほかないでしょう。

 

当然、文書を読み書きしたりWebアプリを利用したりする際にも、確固とした基準があれば利用者が見やすい大きさや文字サイズ、UIにしてもマルチタッチを中心とした構成が可能になれば、もっと本来的な文書構築やUI設計などに、時間と手間ひまを掛けることが出来るようになるのです。

同時にもうすぐ発売されるAndroid端末においてもハーフVGA+Webkitブラウザという組み合わせが決まっていますから、この基準値に従うことのメリットは計り知れない大きさに膨らんでいくのです。シングルタッチとマルチタッチの差こそあれ、同じレンダリングエンジン、同じppi、同じ画面サイズで統一されたメディアの登場は、今後かなり大きな影響を与えていくことになるのではないかと想像されます。

 

 

以上、ざっと思いつく範囲で今回のiPhoneの1千万台到達の意味を考えてみました。

当たり前すぎるので抜かしましたが、(ユーティリティや日々使うツールなどの)アプリケーション流通市場としては、国際的規模における流通(配信)・決済・回収手段を含んだ市場などはほとんど無いと思います。特にデベロッパーにとっては、比較できないほど素晴らしいものが登場したということだと考えています。

あくまで個人で考えた範囲でありますので、至らない点や検討漏れの点もあるかと思います。コメントやトラックバック等でご指摘頂ければうれしいです。

こちらのエントリーもどうぞ。→「続編:iPhone1千万台突破の意味(今後のゲームプラットフォームとは)


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2 responses to “iPhone1千万台突破の意味”

  1. x 自慢ありげ
    o 自信ありげ
    o 自慢げ

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