オンラインゲームとiPhoneの親和性

近年、オンラインゲーム運営は「非同期コミュニケーション」が一番の要点となりつつあります。

専用クライアントでPCに向かっている間だけのプレイ環境の提供では、多数の時間をプレイに割ける方(学生など)とそうでない方(サラリーマンなど)との差異が広がり、結果として不公平感とプレイ継続へのモチベーションの引き下げに繋がることは容易に想像できたのです。もちろんゲーム内での工夫もいろいろなされてきた訳ですが、結局のところプレイ時間の差は埋めるべくもなく、PCに向かえない時間の焦燥感がプレイ中の苛立ちへとつながり、結果としてプレイヤー間の関係構築というMMORPGの本来目的でもある重要な項目が(運営サイドとしても痛いほど理解はしていても)なおざりになってしまっていたのです。※「敵は他のプレイヤー」的な発言は、どこのMMOでも頻繁に見られる。

それに対するゲームベンダーの取り組みとしては、公式サイトでのコミュニティ構築から始まり、最近ではコーエイに見られる(専用クライアント)オフライン状態でのWeb上での相場チェックや、キャラクター操作、キャラクター育成までが行えるようにまでなっており、専用クライアント以外でのプレイ環境の広がりが留まる所を知りません。要するに、ここで行われているのはオフライン状態でのゲーム参加意識を高める工夫です。もちろんそれにコミュニケーションがくっつけば、それに勝る参加感はありません(例えばギルドチャットへの参加など)。

また、3DアクションRPGは外見上非常に華やかな印象を与えるのですが、実際のところ、プレイヤー全体としてはは2D/3Dにそれほど深いこだわりを見せていないというヒアリング結果も出ており、であれば、いかにプレイする場所を選ばないプレイ環境を提供できるかがキーになってくるというわけです。

そう考えると、iPhoneが提供している環境(3G+Wi-Fiでのネットワーク接続、マイク、マルチタッチ操作、寝転びながらでも操作できる軽量性)というものが、いかにMMOというジャンルに適応した、親和性の高い環境であるかがお分かりになるかと思います。

一時期、日本のケータイキャリアにおいても限定的用途(要するにMMO利用)におけるパケット利用量の限度を相当程度緩和する案が出ていたと聞きますが、結局は及び腰でなおかつ新規ビジネスモデルに消極的なキャリア体質により見送られてきた経緯があります。単独でリスクを背負うのを嫌い、将来性を見越せなかったキャリアがグズグズしている間に、スマートフォンの普及が来てしまったのです。

今になってようやくdocomoも(”ケータイサイト”以外での)パケット定額制を導入しましたが、いまやガラパゴス環境で開発する意義というものは消滅してしまい、世界規模で展開できるSymbianやiPhoneがMMORPGのプラットフォームとして俄然注目を集めているわけです。

さて、そうしたiPhoneにはパブリッシャーも大いに興味があるところで、以前にもMMORPGエンジンが対応したというニュースがありましたが、さらに本格派のMMORPGエンジンがiPhone/iPod touchに対応したというニュースです。

4Gamer.net — [AGDC 08#10]本格派のMMORPGエンジン「Icarus Platform」がiPhone/iPod touchに対応(ミドルウェア/開発ツール)

 Icarus Platformはスケーラビリティの高さをウリとしており,ブースでは,一つの世界を共有した3Dゲームと2Dゲームのデモンストレーションが行われていた。
 片方のディスプレイには3Dゲーム,もう一方にはFlashをベースとする2Dゲームが映し出されており,3Dゲーム側でキャラクターを動かすと,2Dゲーム側でも,対応するキャラクターが同じ動きを見せていた。

 そして,Icarus Publishingブースでのもう一つのトピックは,同社がAGDCに合わせて発表した,Icarus PlatformのiPhone/iPod touchへの対応。このエンジンを用いれば,iPhone/iPod touch用のMMORPGが開発できるのだ。加速度センサーにも対応しており,本体を傾けることでキャラクターを操作できる。
 iPhone/iPod touch対応版Icarus Platformの開発者への提供は,2009年第1四半期に開始される予定とのことだ。

Icarus Publishing自体はマンガからMMOまで手広くメヂア事業を展開している会社で、これまでMMORPGを出荷した実績はないのですが、エンジン自体は2D/3Dプラットフォームに対応しており、またボイスチャット部分には「Vivox」が、物理エンジンには「PhysX」、さらにはフェイシャルアニメーション部分に「FaceFX」と有名どころのミドルウェアが採用されたなかなか本格的なエンジンとなっています。

こういった基礎部分の開発はやはり北米のベンダーが勝っている所は否めず、これを元に企画力のあるベンダーからのMMO出荷を期待したいところです。

※初出でタイトルにTypoがありました。。


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