これはなかなか参考になるインタビューです。
若干インタビュアーと清水氏との間でチグハグ感があるのは否めませんが、iPhoneでネイティブアプリを作ろうと考えている方にとってはかなり参考になるんじゃないでしょうか(技術的なものではなく実務的な事柄という意味で)。
ちなみに、UEI(株式会社ユビキタスエンターテインメント)は、UEIPongやZeptPad
、コミックビューワ
などをAppStoreで販売している会社で、清水氏はUEIのCEOです。
iPhoneアプリ市場に参入した理由、UEI清水氏に聞く - @IT
――このオフィスのテーブルも全面が書き込み可能な紙の束でできていますが、もともと紙に何かのアイデアやメモを書くという文化が御社にあるんですか?
ええ、アイデアやメモを紙に殴り書きしてそれを誰かに渡すというのが私の仕事の1つのスタイルで、ZeptoPadはまず第1に自分がほしかったツールなんです。メールで送れる紙があればいいですけど、紙だと送れませんから、ZeptoPadがいいんです。今もちょうど、iPhone向けのアウトラインプロセッサを作ろうというアイデアのメモを社員宛にメールで送ったところです。
――アウトラインプロセッサというのはZeptoPadと別アプリケーションですか? 今後のバージョンアップの予定なども教えてください。
アウトラインプロセッサは別アプリです。ほかにも、お絵かきができるペイント系ツールを作りたいと思っています。ZeptoPadは96本しか線が引けないんですが、これでは絵はつらい。これはZeptoPadの制限というより、iPhoneのヒープメモリの制限なんです。ベクトルデータじゃなくてビットマップデータなら、それなりに動くんじゃなかと思っています。
ZeptoPadの次期バージョン、Version1.5は今デバッグ中なのですが、描ける線の数を96本から128本に拡張したほか、メモリが許す限り無制限で使えるワークシート、貼り付け画像の画質向上、グリッド表示への対応、テキストや写真、線分といったオブジェクトのグループ選択や、オブジェクトの回転機能などを加えています。
まず、UEI が販売しているZeptoPadについて。
これについては、若干作り手と使い手の間に齟齬があったことも認めています。人間の仕事の仕方というのは、立場により大きく変わりますし、業種により仕事のスタイルが固定されている方も多くいるでしょう。万人に使われていい反応が得られるツール(道具)というものは、個々人にとってはいまいちな使い勝手である場合が多いので確かなので、ある程度予想されたことではあるのですが。私自身は、基本的には好きな部類のツールです。スタイルが違うと思ったのでZeptoPadは買っていませんが。
その後、話はソフトウェア流通プラットフォームとしてのAppStoreについてに移ります。※清水氏は、元ドワンゴ。北米法人のバイスプレジデントも務めた方なのでコンテンツ界隈にはお詳しい。
――海外向け販売網としてApp Storeは有利だと。
うちのような零細企業がペルーに現地法人を作って販売なんてできませんよね(笑)。日本のコンテンツプロバイダだと、成功してもせいぜいアメリカ、ヨーロッパ、中国ぐらいで、他のアジアや南米の国に売りに行くなんて、まあないですよね。
App Storeは22カ国、もしかしたら年内に60カ国になりますけど、それだけの国に対してたった1度の承認でモノが売れる。夢のような世界ですよ。
――そういうことを考えるとアップルがApp Storeでの売り上げの30%を取るというのも高くない?
もともと欧米のキャリアって30%取るんですよ。それに現地法人を作って、現地キャリアと交渉して、さらに法的な問題をクリアしてコンテンツを出すなんていうと、大変ですよね。アップルはホスティングまでしてくれるわけで30%なんて全然高くないですよ。
――そういう意味ではアップルはコンテンツプロバイダに門戸を開いていると。
私は北米のドワンゴでバイスプレジデントをやっていましたし、オランダやドイツでコンテンツを出していましたけど、もう全然お話にならないぐらい厳しいですよ。厳しいというより現実的に無理なんです。
キャリア側もビジネスをやらせてくれないわけじゃないんですよ。向こうもやりたいし、こっちもやりたい。ところが障害が多すぎるんです。ヨーロッパは1つ1つの国の人口が数千万人と小さく、しかも言語、キャリア、法規制がまちまちで、あまりにも大変。今でこそキャリア統合が進んできましたが、モバイル向けコンテンツ市場でビジネスをするというのは、EUになる前のヨーロッパと取引するようなものでしたね。それがApp Storeなら1度の承認で完結するわけですから、これはすごいです。
その後、話は既存の日本のキャリアの審査制度についてやコンピュータゲーム業界がなぜ進出しないのか?になるのですが、この後半はちょっと同意しかねました。
現在の日本のコンピュータゲームがいびつな状態(一部美少女ゲームなどキディポルノと疑わしいもの)になっていることは認めますが、元々ゲーム自体は国籍が無いものであるべきだし、成功している(と言われる)ゲームは多くの国で通用する約束事でゲームが構成されています。
しかし、その後が実際にアプリを開発し、AppStoreオープンにこぎ付けた者だけが語ることができる濃い内容になっています。
――なるほど、確かに昔の意味でいうゲームに明るい未来があるような感じはしません。それにしても、もう少し日本のコンテンツプロバイダはiPhone向けに乗り出してもいいのではないかという気もします。
出そうと思ったけど、そこまでたどり着けなかった会社がいっぱいあるんです。
App Storeでソフトウェアを売るというのは、海外取引なんですね。これは国際取引の経験がない会社にはおいそれとはできません。例えば、国をまたいで税金の二重取りを防ぐ租税条約というのがあって、App Storeでの売り上げからの租税を米国で払うことができます。そのために法人でApp Storeに登録するには「EIN」(Employer ID Numbers)という納税番号が必須なんですが、日本の多くの開発者は、それすら分かってませんでした。私はマイクロソフト本社とか、韓国の会社と契約したこともあったので、何が必要かだいたい分かっていましたけど。
英語も大きな壁です。EINを即日取得するにはIRS(Internal Revenue Service;米国内国歳入庁)に電話しないと駄目なんですけど(注:即日でなければFAXや郵送も可)、米国滞在経験のある私でも難しかったです。たまたま担当者が南部訛りがひどい人だったからかもしれませんけど、「何言ってるんだ、この人は」みたいな状態でした(笑)
開発者登録するには法的な契約の文章も読まなきゃいけないし、かなりの英語力が要求されます。ソフトウェアだからといって、アップロードし、ダウンロードしてもらって終わり、というわけにはいかないわけです。
この部分は、ネイティブアプリを出してみようかと考えている方は要熟読だと思います。
そのまま尻切れトンボのように記事は終わってしまっていますが、今の時期の情報としてはかなり役に立つものではないでしょうか。



[...] 先日、CEO清水氏によるインタビューが出ていたUEIのiPhoneアプリケーション「ZeptPad」がバージョンアップした模様です。 [...]